1.   はじめに

 僕は「うつ病」と「過労」の関わりについて調べた。最近、「うつだ・・。」とか「疲れた。」などと口にする人をよく見かける。実際、僕も2年生の時に、実習やテストの連続で凄く疲れて、友達と話すのでさえも面倒くさくなって、色んな事にストレスを感じる時期があった。そこで、過労などのストレスからうつ病になる人にはどのような人がいるのか、また、どのような改善法があるのかを文献により調べた。

 

2.   選んだキーワード

 「うつ病」と「過労」

 

3.        選んだ論文の内容と概略

「ストレス社会と疲労」    橋本 信也

 現代社会はストレス社会と言われている。現代人は激しく変化する社会構造の中で、大小の差はあれ、さまざまな質のストレスに曝されている。ストレスによって生じる健康障害はストレス関連疾患と呼ばれ、ストレス関連疾患は多くの職業性ストレスを含むが、ほかに学校、家庭、地域社会などでもさまざまな心理社会的ストレッサーが要因となっている。ストレスによる健康障害でみられる身体症状として、全身倦怠感、易疲労感であり、他に頭痛、めまい、しびれ、肩こり、微熱などがあげられる。

 一般社会におけるストレスの現状として、ストレスを感じている年齢層は、男女とも35〜44歳の人が多いようだ。どの年齢層でも、女性より男性の方がストレスを感じていて、男性のストレスの原因としては「仕事に関すること」が多い。また、年齢層にもよるが、女性も「仕事に関すること」でストレスを感じる事が多い。

仕事でのストレスにも、人間関係、仕事内容、会社の将来、雇用の安定性、現金給与総額の減少、所定外労働時間の増加などさまざまな理由があるが、ここでは過労によるストレスについてを言及したい。

この、過労によるストレスがうつ病へと発展し、現在多くの現代人の健康状態に大きな影響を及ぼしている。

 ストレスを強く感じる人は、余りにも組織や集団との一体感に意義を感じ、それが職場に対する忠誠、義務、服従などでがんじがらめとなり、ストレスになっている。

 過労によるストレスからなるうつ病の疾患には、身体症状として激しいだるさ、精神症状として抑うつ、睡眠障害などを呈することが多い。

<代表的な症状>

            身体表現性障害(転換性障害、疼痛性障害など)

            不安障害(外傷後ストレス障害PTSD、急性ストレス障害など)

            適応障害(ストレス関連性障害)

  また、この他にも明らかな心理的因子が特定できない場合が多くある。過労によるストレスは患者個人によってその受け止め方が異なり、時間をかけた問診によっても見出せなかったり、患者本人の意識下にあったり、あるいは病前性格と絡む場合である。とくに抑うつ、倦怠感、不眠、集中力低下などを訴える気分変調性障害では、ストレッサーは分かり難いことが多く、患者側の要因も考えねばならない。過労によるストレスから起こるうつ病において、身体表現性障害にはカウンセリングによる心理療法、生活指導、不安障害には抗不安薬、気分障害には抗うつ薬が主な治療法ということであるが、実際には症例によってこの3つの対処法を上手に組み合わせることが大切である。

 

 

 「過重労働と健康障害」    山田 誠二

  次に、上記にもある今注目されているカウンセリングによる心理療法と生活指導についてを以下に述べる。平成17年度の労働安全衛生法(安衛法)の改正によって、平成18年4月から長時間労働者に対して医師が面接指導することが義務付けられた。なぜこのような法律が定められたのかというと、近年、労働補償における脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管疾患や心筋梗塞、不整脈などの心血管疾患などによる労災補償件数がかなり増大している。さらに、自殺者数は5年以上にわたって3万人を超え、メンタルヘルス不調やそれらの原因による自殺者に対しても労災補償がなされている。これらの障害の起因に、長時間の時間外労働が関与していることが指摘されている。よって、長時間労働による過労でストレスを感じる人のために、この法が設けられており、長時間労働による健康障害予防のために実施を続ける配慮努力として組み込まれ、事業場における過重労働による健康障害防止に向けての総合的な体制作りが求められている。

  事業者には労働者が健康に働けるような衛生に関する配慮義務など多くの配慮項目があり、「労働時間」は、今まで配慮義務項目の1つであったが、今回の改正で、その一部分が法的項目となり、法的遵守項目から配慮義務項目までの適用範囲が拡がった。当然、過重労働による健康障害が生じたとすれば企業の社会的責任も大いに問われる結果となる。そこで、長時間労働による過重労働負荷という健康障害要因を持った作業者に、健康診断で義務づけられている事後措置としての健康指導・健康教育を面接指導によってさらにきっちりと行うことが意図されている。

  面接指導においては流れがあり、

@           事業者による面接指導の対象者の選定と面接指導受診指示

A           事業者から当該労働者の労働時間等の就業状況に関する情報入手

B           産業医等による医師の面接指導の実施

C           その結果による医師の当該労働者に対する保健・生活指導および受診指導

D           事業者に対する事後措置等に関する意見の提示

へと続く。これには、労働者が安心して面接指導を受診できるように面接指導で取得した個人情報を保護する体制を安全衛生員会を通じて確立している。話し声が漏れない面接場所の確保、覗き見されないような帳票の記入台、個人情報管理責任者の選任、事業場における個人情報保護管理規程の整備などを必要とする。面接指導に際しては、メンタルヘルス面にも留意し、プライバシーの保護には十分留意する必要がある。面接指導に際して得た情報は、健康情報と同じように他に漏らしてはならないことになっている。面接指導の対象者には、@時間外労働が月100時間を超え、本人が面接を申し出た者(法的義務)A時間外労働が月100時間を超えているが、本人が面接を申し出てない者B事業場が策定した過重労働に該当する者のうち、本人が面接を申し出た者C事業場が策定した過重労働に該当する者のうち、本人が面接の申し出をしない者の4通りの人達が選ばれる。

面接指導の目的として、脳・心血管疾患、メンタルヘルス不調、特に過労死や過労自殺等の未然防止、早期発見・早期対処を目的とする。

面接の実際については、対象者の労働時間や業務内容についての事業者からの情報、本人からの「業務の過重性・ストレス性、疲労蓄積度、うつ病傾向等に関する」アンケートによる情報、最後に医師が面接を通じて得た情報等の収集と整理を行う。さらにうつ病等の1次スクリーニングも行う。そして、その結果を元にして医師が診断する。医師がチェックする項目はたくさんあり、既往歴、現病歴、検査所見はもちろん、脳や心疾患の有意な危険因子であるタバコやアルコールの有無、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満などの危険因子である食習慣、過重労働の目安にもなる1日の平均睡眠時間をチェックしなければならない。

以上のような面接を行ってから、「心と体の健康状態」の評価と判定をする。面接によって、過重労働の健康状態を評価・判定した後、面接指導後の措置を行う。

事後措置としては、@本人への保健指導A事業者への意見具申B対象者へのフォローアップC安全衛生委員会へ報告などがある。

以上のような面接指導を行った後の処置としては、事業者と対象者のその後の行動にかかっている。

 適正な労働時間を維持するための行政の対応策として、平成13年に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずるべき措置に関する基準」で通達されている。労働時間の適切な把握のために、使用者が講ずるべき措置としては、@始業・終業時刻の確認と記録A始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法B労働時間の記録に関する書類の3年間の保存C労働時間を管理する者の職務D労働時間短縮委員会等の活用などがあげられている。

また、労働者本人が果たすべき役割としては、@時間外労働時間に関する協定で協定した残業計画時間を「年間計画」に記入することA時間外労働(早出、残業、休日出勤)の必要性が応じた場合には、事前に上司に相談することB始業・終業時刻や時間外労働等については、自己においても管理を行い、就業時間内外のメリハリをつけること。また、効率的な業務推進に心がけることC労働時間については、正しい時間を毎日記入することなどである。

 長時間の過重労働という摂動要因によって、生活リズムの乱れとストレスの増加によりうつ病になってしまう人々は、過重労働による健康障害を予防するためにPDCAサイクルをまわすことによって、リスクがあがるのを防ぎ、健康障害予防管理体制を作りだす必要がある。また事後措置を確実に行い、健康状態の悪化がステップアップしないようなマネジメントシステム(OSHMS)の構築をするべきである。

 

4.選んだ論文の内容と、ビデオの内容から、自分自身で考えたことを、将来医師になる目で捉えた考察(5.まとめ)

 僕は今回ビデオや文献から、多くの現代人が過労によるストレスを感じうつ病になっていることを知った。うつ病にも軽度と重度があり、重度に至っては自殺にまで追いやられることに驚いた。仕事や生活に対する悩みは、大小それぞれだが、だれしもがもっているものである。そんな中、必死で自分の中で解決しようとがんばる人、耐えることができず誰かに話して悩みやストレスを解消する人、人にも言えないくらいの悩みやストレスを抱えて自分の命を絶ってしまう人、色んな人がいて本当にさまざまである。ここでの話では、仕事における過労でのストレスに限っているが、法律で面接指導が設けられたことは、本当に画期的で良いことだと思う。労働時間が多くても「仕事」という言葉に縛られて必死にがんばる人ほど、自分の中でストレスを溜めがちで、いずれうつ病にとなってしまう。アンケートで正直に記入し診断することで、事業者側が労働者の状態を把握し労働時間を制限してくれれば、労働者にとっては大きな意味あるアンケートである。また、医者に診てもらうのも良いことである。僕の実家も内科を開業しているが、うつ病で悩みを相談しにくる患者は多いそうだ。これは、医者を信頼している証拠でもあり、医者にとっても相談してくれることで患者の気持ちが楽になるのならば、とても気分の良いことである。僕は、患者に信頼され患者の心までも癒すことができる医者になりたい。そのためには、信頼される程の知識と技術を持つことはもちろん、プライバシーを守り、懸命に患者のために尽くせる医者になれるように努力したい。